よしじ日記

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2016.07.26|

六番栗山よしじ君。
   〔六番栗山よしじ君登壇〕
〇六番(栗山よしじ君) 初めに、財政運営についてお伺いいたします。
 日本経済は、安倍政権のもと、景気は緩やかな回復基調が続いています。一方で、最近では、中国経済の減速や原油安を背景に、年明け以降、株安、円高の流れも見られるなど、今後の先行きには注視が必要です。
 都財政は、法人二税が税収の多くを占めており、過去、リーマンショックなどにより、一年で一兆円減収となるなど、世界経済の動向に大きく左右されます。しかしながら、都には国からの交付税がありません。さらには、今後、地方法人課税の不合理な偏在是正措置の拡大が見込まれています。
 こうした中においても、都は、二〇二〇年、そしてその先の東京を見据え、長期ビジョンを着実に実行し、東京の将来を切り開いていかなければなりません。そのためには、中長期的な観点から、安定的な財政運営をしていくことが不可欠です。
 本来なら、一つの手段として、歳入歳出の両面から中長期的な財政見通しを立てるべきです。しかし、変動の激しい将来の都税収入を正確に見込むのは大変難しいと聞いております。だからこそ都財政においては、中長期的なビジョンを持って、みずから備え、財政運営を行っていくことが極めて大事です。
 今後も、安定かつ積極的な施策展開を行うためには、いかなる状況変化にも対応できるよう、自立した財政運営を行うことが重要だと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、がん検診についてお伺いいたします。
 がん検診の受診率は、男性に比べて女性の方が低い傾向にあり、仕事をしている女性に比べ、専業主婦等の仕事をしていない女性の受診率が低くなっています。
 そこで、専業主婦等への受診勧奨を行うためには、子供が通っている学校及びPTAを活用する方法があるのではないかと考えます。
 昨年十一月の文教委員会の事務事業質疑で、教育庁から、福祉保健局から具体的な依頼があれば、PTAとの連携も含め、都教育委員会として適切に対応していく旨の答弁がありました。ぜひとも都立高校のPTAや保護者に対して、がん検診の重要性を認知していただけるような講習会やリーフレットを配布するなど、教育委員会との協力体制を整えていただきたいと思いますが、所見をお伺いいたします。
 がんと診断された患者は、身体的なつらさに加え、医療者との関係や、経済的なこと、家族への思い、人生観の変化などさまざまな不安、悩み、困難を抱える可能性があります。
 こうした中で、専門家に相談するだけではなく、患者が同じ体験を有する方と交流し、互いに体験を語り、傾聴することにより、孤立感や不安が和らぎ、勇気づけられたり、感情を表出することで気持ちが整理できたり、心が和み癒される経験が生まれることがいわれております。
 そこで、がん患者やその家族が同じ体験を有する方と出会い、交流し、励まし合えるような場が重要であり、都は積極的に支援すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、病児保育事業についてお伺いいたします。
 子供が病気になったときは、保護者も子供も特に不安になります。ふだんは保育所を利用していても、病気のときには子供に寄り添って看病してあげたいと思うものです。安心して子育てができる環境を整備するためには、看護休暇を含めた職場環境の改善など、仕事と子育ての両立に向けた支援が不可欠です。
 しかし、子供が急病でも、どうしても仕事を休めないときというものがあります。こうしたときには病児保育が強い味方になります。必要な方が必要なときに病児保育を利用できるよう整備を進めるべきですが、その一方で、病児保育は採算性が厳しく、運営が難しい面もあるようです。
 先日、病児保育事業を運営する方に伺ったところ、季節や病気の流行によって利用者の数は変動し、また、子供の体調は変わりやすいので、当日のキャンセルも多く、運営が大変だとおっしゃっていました。運営が安定しなければ、保育のかなめである人材の確保も難しくなります。ハードだけでなくソフトの面からの支援も重要です。
 病児保育は、仕事と子育ての両立を支援する観点からも重要な保育サービスです。病児保育事業の充実に向けた都の取り組みをお伺いいたします。
 次に、観光振興について伺います。
 都では、昨年の秋に、東京の観光地としての魅力を発信するロゴ、&TOKYOを発表し、その普及や定着に努めています。東京ブランドは、海外の旅行者に対してPRが行き届くことが目的であるとは思いますが、まずは、都内でのロゴの意味を広く共有するような足元を固める取り組みも重要であると考えます。
 特に、さまざまな団体とコラボレーションしてロゴのPRを行う場合には、都も積極的に協力して、宣伝のための負担が軽くなるようなサポートを行うことが大切です。例えば、&TOKYOと商店街等の各種団体の名称を組み合わせたバッジは、地域社会でPRするのにとても効果的だと思いますが、その製作には多くの労力がかかるため、バッジを生産できる仕組みづくりなどは有効な取り組みであると考えます。各地域の商店街や各種団体が集まり、東京都と協力してロゴの活用を進めるのであれば、そうした取り組みが円滑に進むように都としてしっかりと下支えを行うべきです。
 こうした視点を踏まえつつ、来年度に、都が東京ブランドを国内に向けてどう発信する考えであるか、所見をお伺いします。
 次に、東京の地下鉄サービスの一体化について伺います。
 東京の地下鉄は、都営地下鉄と東京メトロ合わせて十三路線が網の目のように張りめぐらされており、一日当たり九百万人を超える方が利用するなど、都民生活や首都東京の経済活動を支える重要な交通機関であります。
 また、近年、国内外から東京を訪れる観光客も急増しており、東京の移動にふなれな方でも地下鉄を便利で快適に利用できるようサービス改善に不断に取り組む必要があり、そのためには、両地下鉄のサービス一体化をさらに進めていくことが重要であります。
 バリアフリー化の一層の推進や外国人でも利用しやすいサービスの提供など、改善の余地はあり、サービス一体化は道半ばと考えます。
 都民や東京を訪れる旅行者の利便性向上に向けて、東京の地下鉄サービスの一体化を一層進めていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、ボランティアについてお伺いします。
 二〇二〇年大会では、世界中から訪れる多くの観客や選手や大会関係者をおもてなしの心を持って迎える上で、九万人を超える数多くのボランティアが必要になると聞いています。
 ボランティアは、選手村や競技会場などの大会関係施設で、選手や大会関係者をサポートするだけでなく、鉄道駅や観光スポットなどにおいて、訪問客に対し、きめ細かな案内を行い、東京の魅力を広く世界へ発信することが期待されています。
 ボランティアが期待される役割を果たしていくためには、初めての訪問客にもわかりやすく道案内を行い、その地域ならではの情報を魅力的に伝えることが必要となります。そのためには、日ごろより地域のために活動している町会や商店街、消防団など地域の担い手との連携は不可欠であります。
 大会開催時に、地域で案内を行う都市ボランティアについては、町会を初めとする地域の担い手と連携することが重要であると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 次に、小学校における英語の教科化に向けた対応についてお伺いいたします。
 グローバル化が急速に進展する国際社会において、我が国の将来を担う子供たちが、外国人の前でも堂々と発言し、世界を舞台に活躍していくためには、外国語、とりわけ英語の力を身につけることは大切です。小さいころから英語を聞き、なれ親しみ、学習することができる環境を整備することが必要となってきています。
 平成三十二年度には、小学校で次期学習指導要領が全面実施され、小学校の三、四年生では外国語活動として、五、六年生では教科化として英語を学習することとなる見通しです。子供が英語を教わるにおいて、しっかりと英語を教えられる力を教員が身につけることが重要です。
 私は、資格を持った教員が教えることが望ましいと考えますが、次期学習指導要領における詳細な指導内容や指導方法は、まだ、示されていない状況です。
 しかし、全面実施まであとわずか四年しかありません。小学校教員の英語の指導力を向上させるため、今から事前に取り組んでいくことが必要と考えますが、都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、都立高校のグラウンド整備についてお伺いいたします。
 都立高校の多くは、土のグラウンドが整備されていますが、学校によっては、強い風が吹くと砂ぼこりが舞い、近隣の住宅まで飛んでしまったり、大雨が降るとぬかるんで、水はけが悪い場合には、数日間にわたり体育の授業や部活動に支障を来すケースもあるとお聞きしております。
 サッカーやラグビーなどグラウンドで行う部活動が盛んな学校で、大会を間近に控えた時期に満足にグラウンドを使えないような状況が生じれば、生徒たちが大会で十分に力を発揮できないような事態も起きかねません。
 砂ぼこりによる近隣への被害を防ぎ、体育の授業や部活動を円滑に行うためにも必要である都立高校のグラウンドには、人工芝を整備していくべきだと考えますが、見解をお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 栗山よしじ議員の一般質問にお答えいたします。
 状況変化に対応できるような、自立した財政運営をどうするかというご質問でありましたけれども、ご承知のように、都の歳入の根幹となります都税収入、特に、この法人二税に大きく依存しておりますから、景気変動の影響を非常に受けやすくございますし、また、地方交付税の不交付団体でもあります。それだけに、ほかの自治体以上に自立した財政運営を行う必要があると思っています。
 また、ご指摘ありましたような地方法人課税の不合理な措置による影響も、これは懸念をしております。
 こうした中にありましても、二〇二〇年とその先の東京を豊かで活力に満ちあふれた都市にしていくためには、みずからを律して将来のリスクに備えるということで、積極的な施策の展開を支え得るような財政基盤を構築することが必要だと考えております。
 そこで、事業評価などの自己改革の取り組みを通じまして、施策の効率性、実効性、これの向上を徹底したいと思っています。
 また同時に、中長期的な視点に立って、単年度じゃなくて、年度間の財源調整機能を持つ基金とか都債、これを戦略的かつ計画的に活用していくことも考えております。
 こうした取り組みを通じまして、将来にわたって、財政対応力を強化しながら、今後とも、都政の役割を確実に果たしてまいりたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕
〇教育長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、小学校教員の英語の指導力向上についてでございますが、小学校における英語の教科化に当たっては、実践的な英語を指導できる教員の育成が重要であります。
 このため、都教育委員会は、平成二十八年度に、十地域を英語教育推進地域に指定するとともに、推進地域等に新たに四十人の教員を配置し、海外派遣研修等を行うことにより、英語教育推進リーダーとして育成してまいります。
 また、小学校教員の英検の資格取得等を目的とした英語指導力向上研修を拡充するとともに、英語の免許状取得に必要な費用の補助制度を新設し、免許状を取得した教員を各小学校のリーダーとして活用してまいります。
 都教育委員会は、こうした取り組みにより、区市町村教育委員会と連携し、英語の指導力向上を推進してまいります。
 次に、都立高校のグラウンド整備についてでございますが、都立高校のグラウンドは、さまざまな運動や競技での使用に対応可能で、維持管理が比較的容易であるため、一般的には土により整備しておりますが、砂ぼこりの飛散などの課題を抱える学校からは、人工芝でグラウンドを整備してほしいという要望もあるのも事実でございます。
 一方、人工芝のグラウンドは、土のグラウンドと比較して、整備や維持管理に多額の経費を要することから、現在は、大泉高校附属中学校及び東久留米総合高校において例外的に整備してございます。
 今後も、人工芝でのグラウンドの整備につきましては、その使用実態や教育活動の実績なども含め、各都立高校の個別事情を総合的に勘案し、検討してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
〇福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、女性のがん検診の受診率向上への取り組みについてでありますが、都はこれまで、がん検診の重要性や具体的な受診方法等について、ホームページやイベントなどにより、都民へ広く周知してまいりました。
 また、がん検診の実施主体である区市町村に対しては、受診率向上の手引を作成し、取り組みを促すとともに、個別の受診勧奨等について包括補助で支援しております。
 区市町村の中には、教育委員会と連携して保護者への呼びかけに取り組んでいる自治体もあり、都としても、来年度、都教育委員会と連携して、都立学校の児童生徒の保護者に、がん検診の重要性を周知するリーフレットを配布する予定でございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて、都民に対し、がん検診の意義を正しく伝え、受診率の向上を図ってまいります。
 次に、がん患者や家族の交流への支援についてでありますが、がん診療連携拠点病院等が設置するがん相談支援センターでは、看護師やソーシャルワーカー等が、患者や家族の不安や悩みに対し、きめ細かく相談に応じております。
 また、がん経験者が、みずからの体験を生かした相談を行うピアサポートや、患者や家族の交流の場であるサロンを開催する病院もあり、都は、こうした情報を東京都がんポータルサイトで提供しております。
 さらに、都内でサロンを開催するなど、患者や家族を支援している患者団体等の情報についても、年度内にがんポータルサイトで公表することとしており、現在、掲載を希望する団体を募集しております。
 今後とも、がん患者や家族の不安や悩みに応える取り組みを支援してまいります。
 最後に、病児保育事業の充実についてでありますが、都はこれまで、区市町村における病児保育の取り組みを促進するため、保育所や医療機関等で実施する際の施設整備、病児保育施設の人材、ノウハウを活用した地域の保育所への情報提供、巡回支援等の取り組みを支援してまいりました。
 来年度からは、病児保育事業における人材の確保、定着を図るため、職責や職務内容などに応じた賃金体系の設定や、職員の資質向上に向けた計画の策定など、保育士や看護師のキャリアパスの仕組みを導入することなどを条件に、処遇改善に係る経費の一部を都独自に補助いたします。
 今後とも、区市町村が地域の実情に応じて、病児保育の充実に取り組めるよう積極的に支援してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕
〇産業労働局長(山本隆君) 東京ブランドの国内での発信についてでございますが、東京の観光地としての魅力を海外に発信する上で、東京ブランドの国内での確実な定着を図ることは重要であり、そのために民間の力を活用することは効果的でございます。
 これまで都は、東京ブランドの国内での普及に向け、ポスターや大規模なイベントに加え、都営交通での宣伝や活用事例を発表会で紹介する取り組み等を進めてまいりました。
 来年度は、民間の企業や団体が都と協力し、東京ブランドのPRのプロジェクトを行う場合に必要な経費を支援する取り組みを開始いたします。また、東京ブランドのイベントや広報の充実を図り、民間や地域の力も活用いたします。
 こうした取り組みにより、区市町村とも情報を共有しながら、東京ブランドの国内での普及や定着を確実に進めてまいります。
   〔交通局長塩見清仁君登壇〕
〇交通局長(塩見清仁君) 東京の地下鉄サービスの一体化についてでございますが、交通局では、東京の地下鉄の利便性を高めていくため、これまでも東京メトロと連携し、案内サインの統一化や駅ナンバリングの導入、無料WiFi環境の整備、旅行者向けの割安なTokyo Subway Ticketの発売など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 東京二〇二〇大会やラグビーワールドカップの開催に向けて、連携をより一層強化し、乗りかえ駅へのエレベーター整備を進めるとともに、東京メトロと共同で開発いたしました路線図や観光スポットで検索可能な多言語対応の次世代券売機を、来年度から本格導入いたします。
 また、共通一日乗車券のICカード化を初め、さらなる利便向上策にも取り組み、今後とも、東京メトロと一体となって、誰もが利用しやすい東京の地下鉄を実現してまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年大会のボランティアについてでございますが、都市ボランティアは、大会開催時に、空港や主要駅、観光地などで、国内外の観客に対し、多言語できめ細やかな交通案内や観光案内などを行うものでございます。
 一方、現在、都内各地域におきましては、観光名所の案内や防災、防犯など、さまざまな分野でボランティアや地域活動が展開されております。都市ボランティアの運営に当たっては、これらの活動との連携や役割分担が不可欠でございます。
 都では、都市ボランティアの効果的な募集や育成、運用のあり方などにつきまして、東京都ボランティア活動推進協議会において、町会や商店街などの代表者も交えまして検討を進めており、この秋に戦略を策定する予定でございます。
 今後、協議会での議論を踏まえ、地域と連携した都市ボランティアの運営体制を構築してまいります。

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